文字通り、霜が降る月の意味

一年を二十四等分した二十四節気では、
１０月２３日頃の霜降 (そうこう)が過ぎれば、万物が冷ゆる「ひゆ」＝「ふゆ」を迎えます。

１１月７日頃が立冬 (りっとう)、小雪 (しょうせつ) 、大雪（たいせつ）、冬至（とうじ）、
小寒（しょうかん）、大寒（だいかん）を越せば春は目前。
季節は、正しく巡り、その時々の楽しみを、人間に与えてくれます。

初霜がおりて、踏むと、サクサク音がする、
そんな美しい季節を表現したこの季節だけ楽しめる繊細なお菓子があります。

■ 仙台九重本舗玉澤の「霜ばしら」　1缶 40g　

晩秋から早春までの限られた季節だけ味わえる、風雅な香りと、とろける甘露です。

ひとつ、また、ひとつと口の中に入れても、
地面に落ちた雪のように溶けて、跡形もなく一瞬にして消え去っていく飴
いつの間にか姿を消していきます。

光沢のある艶やかな表面をじっくり見つめてみると、
しっとりとした絹糸のように、何本もの無数の糸状の飴が集まって、まさに、霜柱のような形状で、雪を口にしたかのように消える、口どけのよさを生み出しているのです。


霊峰 蔵王の嶺々が冬の粧いを整え、
麓にも霜柱が立ち始める頃、
菓子職人の手作業による　銘菓「霜ばしら」 の製造は始まり、本格的な春の訪れとともに終了します。

繊細で壊れやすいため、米由来のらくがん粉で満たされた化粧缶に入れて販売される晒し飴の一種です。

■ 柿寿賀　　　奈良　総本店柿寿賀
柿食えば　鐘が鳴るなり　法隆寺　　　正岡子規

秋が深まれば、必ず食べたくなるのが、こちら。
冷凍できるので、買い置きできるのも嬉しいですね。


干し柿は、生では食べられない渋柿を使います。
渋柿は乾燥させることによって、タンニンなどの渋みを生む物質が変化し、
それによって渋抜きされて、むしろ砂糖をたっぷり加えたような甘みに変化するのです。

干し柿の糖分は表面に浮き出して結晶化するので、
白い粉状となって付着するほどに、自然の甘味を増します。

そんな甘みが表面に噴き出すほどに熟成された干し柿を平らにならし、
柚子の果皮を細かく刻んだものを芯にして、しっかりと巻き上げたのが『柿寿賀』です。

棒状になった姿は、熟成されたハムのように見える完全なる保存食ですが、
自然が熟成する味は、本当に、おいしい。
口に入れた瞬間、干し柿のやさしい甘さとゆずの爽やかな酸味が口一杯に広がります。

通常５㎜程度に薄く切っていただくのですが、その時々の好みで厚さを変え、考えながらカットするひと手間も楽しい作業です。

素朴で風流なこのお菓子は、茶席でよく使われます。
また、迎春の時期に大変重宝され、おせち料理の一角に入れたり、
人が集まるお正月には欠かせないという方も沢山いらっしゃるのも無理はありません。